
Toni Braxton / He Wasn’t Man Enough
アップテンポ路線へ踏み出したToni Braxtonの転換点
Toni Braxtonのキャリアにおいて、2000年リリースの He Wasn’t Man Enough は特別な意味を持つ1曲です。バラードの女王として確固たる地位を築いた彼女が、Rodney “Darkchild” Jerkinsとタッグを組み、アップテンポ路線へと大胆に舵を切った転換点となった楽曲であり、2000年代R&Bの空気を象徴する存在として語り継がれています。これまでのイメージを更新しつつも、Toni Braxtonらしい気品と強さを失わない、その絶妙なバランス感覚がこの曲の核にありますね。
Promo 12インチで味わうExtended Versionの醍醐味
今回レコメンドするUS盤Promo 12インチシングルには、プロモ盤のみで聴けるExtended Versionを収録っ!クラブ現場を強く意識した伸びやかな構成は、このフォーマットならではの魅力です。針を落とすとまず耳を奪うのが、哀愁感の漂うスパニッシュ・ギターの鋭く色彩的なイントロ…そこへDarkchild特有のタイトで緊張感のあるビートが追いかけ、シンセファンク調の低音がシッカリとグルーヴを支えます。リズムマシンの細かい刻みとハープの煌めきが交錯し、2000年代初期R&Bの都会的なスリルをそのまま閉じ込めたようなサウンドに仕上がっています。
ハスキーなヴォーカルが放つ大人の強さと余裕
この硬質なビートの上を、Toni Braxtonのハスキーで艶やかなヴォーカルがスムースに乗る瞬間、曲はイッキに完成形へと向かいます。リリックのテーマは、元彼と付き合い始めた友人に向けた大人の女性からの静かな警告。「あの男はあなたを幸せにできる器じゃないわ」と語るそのニュアンスには、過去を乗り越えた女性の誇りと自尊心が刻まれており、Toni Braxtonの表現力が物語に圧倒的な説得力を与えていますね。メロウではなくアップテンポでこの内容を歌うコトで、彼女の強さと美しさがより鮮明に浮かび上がるのも、この曲ならではの魅力です。
2000年の空気を象徴したヒットと評価
当時のチャートでもこの楽曲は爆発的に受け入れられ、Billboard Hot 100でNo.2、R&Bチャートでは見事No.1を獲得。さらにToni Braxtonはこの曲でグラミー賞「最優秀女性R&Bボーカルパフォーマンス賞」を受賞し、ラジオ、クラブ、MTV、どこを切っても2000年の空気を象徴するような存在感を放ちました。12インチのExtended Versionは、イントロから1stヴァースへの流れがよりゆったりと構築され、ギターやビートの余韻が長く続くためDJにとっても扱いやすい仕様。ダンスフロアでもR&Bセットのハイライトとして機能する力強い1枚で、US盤はPromoオンリーという点もあり、R&B 12インチ・コレクターにとっては確実に手元に置いておきたい重要作です。アップテンポ路線へと踏み出したToni Braxtonの新たな顔が刻まれた He Wasn’t Man Enough は、「R&Bの時代の切り替わり」を象徴する1枚として、針を落とせばその瞬間の空気をありありと感じられるナンバーですよ。








